そこにいたのは、まぎれもなく
わたしが話をしたい相手……話をしなくてはいけない相手……
「ゆ、佑都……先輩」
わたしが名前を呼ぶと夏向がピクッと反応して、そちらを見て身体を起こした。
「なんか2人の様子見てるとうまくいったように見えるのは気のせいかなー?」
「あ、あの……せ、先輩……」
わたしが立ち上がって話をしようとしたら。
「……別れ話なら聞かないよ」
急に真剣な声のトーンになって、そう言われてしまい、思わず固まる。
「俺言ったよね、冬花ちゃんのこと本気だって」
「そ、それは……」
「譲りたくないんだよねー。
それにさ、冬花ちゃんも悪いじゃん。木咲くんのこと好きなくせに、俺と付き合うこと選んでさー」
真っ当な意見を言われてしまい、
返す言葉が何もない。

