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人混みの中をどれだけ探しても、佑都先輩の姿は見つからない。


やっぱりふつうに探すのには無理があるかと思い、いったん人混みからはけて裏庭のベンチに夏向と座り、スマホとにらめっこ。



やっぱり電話したほうがいいかな。


昨日の気まずさが残りすぎていて、電話をかけるにかけられない。



しかもきちんと話するつもりとか言って、
何も話すことを考えていない……というか、謝ることしか頭にない。



「うーん…どうしよう……」



わたしが頭を抱えて悩んでいるのに、
隣にいる夏向はつまらなさそうな顔をしながら。




「……早く帰って冬花と2人になりたい」


わたしの肩に頭を乗せてきて、手をツンツンしたり頬を引っ張ってきたり。



「だ、ダメだよ。甘えないで。
ちゃんと話しないとダメなの……」