学校の中は昨日と変わらずにぎわっていて、人がすごい。
「ほら、夏向ちゃんと歩いて」
「……無理、人多すぎて倒れそう」
わたしに平気でもたれかかってくるから、歩きづらくて仕方ない。
「そんなに無理なら学校休めばいいのに…」
「それは無理。だって、冬花いまからアイツに会いにいくんでしょ?」
「だ、だって……
佑都先輩にきちんと話さなきゃいけないし……。ぜんぶわたしが悪いわけだし…」
「アイツ冬花に何するかわかんないから俺もついてく」
「佑都先輩って夏向より意外と真摯だよ」
「へー、俺の前で他の男のこと褒めるなんていい度胸してんね」
「へ……?」
あ、あれ?
なんだかご機嫌斜め…?
「あとで覚えときなよ」
このセリフは聞かなかったことにしよう。

