「あっ、お、お待たせ……」
ようやくまともな制服姿に戻れてよかったと思いながら、夏向のそばへ駆け寄る。
そして、何も言わず夏向に腕を引かれて学校を飛び出した。
学校を出てから、にぎやかさが一気になくなった道を歩くこと数分。
見覚えのある建物……
久しぶりに、夏向の家に着いた。
夏向が鍵を開けて中に入り、そのあとに続く。
学校を出てからずっと、わたしの手を離さなくて、今も繋がれたまま。
そのまま夏向の部屋に連れて行かれ、
扉がバタンッとしまった途端、
「……冬花」
優しく名前を呼ばれて、後ろからギュッと抱きしめられた。

