「冬花はどうしたいの?このクズ男についていくの?」
クズ男って……。
間違っちゃいないけど、本人を目の前にして言ってしまうあたりが樹里らしいというか。
「まあ、どうせわたしが止めても木咲くんについていくんでしょうけど」
呆れた様子を見せながら、「あんたらのわけのわからん関係にはお手上げだわ」と言いながらも。
わたしの瞳をしっかり見て。
「何があったか知らないけど、ちゃんとしてきなさい。気持ち、曖昧に濁すんじゃないわよ」
樹里らしい言葉をかけてくれて、
そして次に夏向に対して。
「これ以上、冬花を傷つけるんじゃないわよ」
まるで、わたしと夏向の間にあったことを全て見ていたかのよう。
本当は文化祭の仕事をサボるのはダメだけれど、樹里の計らいで抜け出せることになり、
裏で制服に着替えた。
着替えを終えて外に出ると、夏向が壁にもたれかかって待っていた。

