緊張が異常で、口にしてしまったあと、
心臓が中で暴れてうるさい。


恥ずかしさにも襲われて、瞳に涙がジワリとにじむ。



こんな堂々と顔を見ながら、
夏向に好きと伝える日が来るとは思ってもいなかった。



わたしの言葉に夏向は表情ひとつ変えない。



何か言ってほしいけど、何も言ってほしくない。



何も言わない代わりに、真っ直ぐ射抜くようにわたしの瞳を見つめる。




「……あーあ、やられた」




予想もしていない、夏向の言葉の意味が理解できない。


そのまま夏向はわたしから目をそらし、頭を抱える仕草を見せる。




「……俺の気持ち知らないくせに」


「え……?」



少しだけ、ほんの少しだけ夏向がいつもより取り乱しているように見えるのは気のせい……?



すると、再びわたしのほうを見て。



「……いくよ」


急に立ち上がり、わたしの返事を聞く前に保健室を出た。