「いま保健室にいるって聞いたけど…」


「か、夏向の容態は……っ」


女の子の腕をつかむ手が、情けないくらい震えて、力が入らない。



「それは、わたしにはわからないけど…。
わたしも実際に倒れたところを見てたわけじゃないから」


そう言うと、わたしの手を振りほどいて女の子は去っていった。




「……冬花、大丈夫?」


樹里が心配そうに声をかけてくれている。


そうだ……いまこの場には樹里もいて、
佑都先輩もいることが頭から離れていた。



「だ……いじょぶ……」



情けない、本当に情けない。
こんな声しか出せないなんて……。



「大丈夫って言うくせになんでそんな泣きそうな顔してるのよ。心配なんでしょ、木咲くんのこと」


「っ……」



「今の話が事実かどうかわからないけど、
たしかめにいったほうがいいんじゃない?」


樹里の言うとおり、今すぐに夏向の容態を知りたい。