2人を交互に見ながら、この場をどう乗り切ろうか、悩んでいた時だった。




「木咲くんが倒れたって噂聞いた?」

「え、うそ、まじ!?」



たまたまわたしたちの近くを通った女子2人組の会話を耳にして、

心臓が嫌な音を立てた。



夏向が倒れた……?



とっさに、2人のうちの片方の女の子の手をつかんで、引き止めていた。



「え……?な、なに?」


わたしに手をつかまれた女の子は、かなりびっくりした顔をしている。



「あ、の……夏向が倒れたって……」



「あぁ、そのことね。なんか外にあった看板が急に倒れてきたみたいで、木咲くんがたまたまその前を通ったみたいで。看板の下敷きになったって……」



う、うそ……。


身体が一瞬でゾクリとして、ヒヤリとした。


頭が真っ白になりかけて、固まったまま動くことができない。



夏向はいま無事なの……?

倒れたって、下敷きになったって……。