これだからいやだ……。
外部の人が入ることを許される文化祭は、こういうトラブルが絶えないから。
「あ、あの……、離してください。
わたし用事があって、急いでるんです」
今は人がたくさんいるからいいけれど、
これでひとけの無いところに連れていかれたら、何をされるかわからない。
「えー、俺たちわざわざ時間作ってここに来てるのにー?それは無いでしょー」
「そうそう〜。キミのクラスがやってるお店行ってあげるから、俺たちと連絡先交換しない?」
こんな人たちと交換なんてしたくないけど、
でもこの場を安全に乗り切るには交換するしかない……。
どうせあとでブロックして連絡取れなくしちゃえばいいから。
そう思って、ポケットに入れていたスマホを取り出そうとした時。
「はーい、ストーップ」
聞き覚えのある声がして、ポケットに突っ込んだ手を止めて、声のするほうを向いた。

