これが長い間求めてきたものだと思った。

彼女が生きる意味だと思った。

しかしそのことを口にすると、彼女のとてもきれいに澄んだ、深く息を吸いたくなるような目が少し曇った。

「どうしてそんな目をするの」

すると彼女は目の表情を変えた。哀れんでくれたのだった。

「あなたがだめになってしまうわ」

彼女はいった。

「どうして」

聞き返したが、彼女の言うことの意味はわかっていた。

その頃はもう、生活のすべてが彼女になっていた。

生きることすべてが、彼女だった。

会社も休みがちになった。

もともとどうでもいい仕事だ。

自分の家にも帰らなくなった。

当然だと思う。そこには彼女はいないのだから。

「でもそれじゃだめ」

胸の中で彼女は言うのだった。