必死に抵抗して拘束を逃れ振り返ると、やはりそこには仏頂面のコウが立っていた。

「ほら」

「あはは、ほんとだ」

先輩は私たちのやりとりを見て笑っている。笑わせられたのは光栄だけど、私はいよいよ逃げ場を失ってしまった。

「ほんとに治ってよかった…じゃあまたね、奈々ちゃん」

「あっ…」

先輩が行ってしまう。私、これでいいの?またっていつ?次話せる確証なんてどこにもないよ。

「あ、あの!」

衝動のままに口を開くと、思ったよりも大きい声が出てしまった。