「だ、だいじょ……いででででで!」 喋り始めてから気付いたけど、これ、痛すぎる。 どうやら口の中が切れているようだ。血の味もする。 頰を触ると、明らかに腫れている。 「す、すぐに保健室行こう!立てる?」 私の痛がる様子を見た先輩はオロオロしながらも、手を差し出してくれた。 えっ、この手を取れと?? 手までもが美しい…ミロのヴィーナスの失われし腕説ある。 恐る恐る手を出すと、グッと引き上げてくれた。 ヤバいこれはカッコいい。 現実にいたんだ、こんなさらっと王子様できる人。