「ちょっと~さっさと歩いてよ!」

取り巻きを従えて私のことをいじめてくる主犯格の西園寺遥菜(さいおんじはるな)さん。

この街でも有名な大企業の社長の父を持つお嬢様。

「ごめんなさい・・・・・。」

罵倒され、5人分の荷物を持って歩く私。

「うわぁ。あの子可哀想。荷物持ちさせられてるよー。」

「ダメだよ助けちゃ。私達までターゲットになるし。」

「ていうか、リーダー。西園寺家のお嬢様だし・・・・。」

「逆らえないよね・・・・。」

いじめられるのが、怖いから。

ターゲットにされるのが嫌だから。

そう言って助けない傍観者達。

私は、突然いじめのターゲットになった。

ハーフでみんなからちやほやされてた私のことが気に入らなかったらしい。

孤独なのは、家でも一緒。

今の両親は、本当の親じゃない。

私を産んだ両親は、いつも喧嘩ばかりしていた。

お互いに怒鳴り声が聞こえてきたことだけ覚えている。




私はいつものように登校していた。

上履きに履き替えようとしたとき、足裏にチクッとした痛みが走った。

「痛っ!」

見ると、上履きの底に画鋲が入っていた。


私は、画鋲を取り出してまた上履きを履き替えた。

クスクス・・・・。

そんな私の姿を見て西園寺さん達が笑っていた。







(許せない!)








私は、西園寺さん達を無視して教室へ向かった。


ガラッ―――――


扉を開けると、教室内はシーンと静まり返り冷たい視線が突き刺さった。


私は、俯きながら自分の席へ座る。




何も悪いことなんてしてないのに。





どうして?





何で?





誰も助けてくれない。









みんな、許さない!!




「ねー。なんか臭くない?」

「だよね~。臭ーい!」

「誰かさんが生ゴミでも持ってきてるんじゃないの~?」

教室に戻ってきた西園寺さん達が私を見るなり罵った。

「私が、お掃除してあげる~♪ちょっと来て。」

腕を掴まれ、私はトイレに連れていかれた。