―空を見上げる。一面が青々とし、雲一つない晴天。今日もまた1日が始まる。―
中学最後の夏。外はセミの声にサンサンと照り射す太陽。額の汗が一つまた一つと地面に落ちていく。足元にあるサッカーボールを蹴り上げた。全ての練習が終了し、部員達は水道へ駆け込む。俺はいつものように、のんびりと歩き水も飲まず更衣室へ行き着替え出ていった。出るとバス停まで一直線に走り出す。これが練習の後の日課になっていた。
バス停に着くといきなり風が強く吹き、俺は一瞬目を瞑った。そして次に目を開けた瞬間一人の女の子が立っていたのが見えた。年は俺と同じくらいかな?すると彼女の方から声をかけてきた。
「あの~、○×中学の人ですか?」
「はい。そうですけど…」
いきなり何を質問するかと思えば通ってる学校を聞かれた。そして無言が続いた。今度はこっちから話しかけてみた。
「君は俺と同じ中学の人じゃないよね?」
「はい。そうですけど…」
と全く同じ質問をしてしまった。次の瞬間彼女は『クスッ!』と笑い、それにつられるように俺も笑った。そのおかげか緊張はすっかり解け、俺は空を見上げて
「俺思うだよね。こんな雲一つない天気のいい日はもっと別の何かが、自分にしか出来ない何かとかもっとワクワク、ドキドキするような何かが…つうか幸せって何だろうね?」
すると彼女は
「それは私もわからないよ。」
と言った。その後も学校の事、趣味などお互いの事を話した。
「年はいくつ?」
意外だった。そういえばこんなに話していてまだ名前はおろか年も聞いていなかった。
「カズ。14歳の中三。」
「私は舞。私も同じ中三。ちなみに生年月日は1985年9月6日なんだ。」
「えっ?俺もだよ。」
この偶然ともいえる共通点。この時彼女はどう思ったか知らないが、俺は自分ではわからない何かを彼女に感じていた。バスが到着し
「じゃあね。また会えたらいいね。」
と声をかけると彼女は
「ここに来ればいつでも会えるよね?また、明日ね。」
お互い別の方へと向かうバスに乗り別れた。