うたた寝



僕は彼女が好きだ。

どろどろとした感情が胸を埋め尽くしてきている僕の眼下の彼女は気持ち良さそうな表情で、小さな吐息が聞こえる。

魔が差した。ベットの柵に右手をかけて彼女の枕元に左手を置いて体重をのせると、ベットが静かに軋んだ。

ゆっくりと彼女に顔を近づけていくと、耳にかけていた髪の毛が一房落ちる。

緊張感で手に汗が滲む。心臓が小刻みに鼓動する。

あと数センチ。僕の鼻に彼女の吐息がかかった。

僕は目を閉じる。瞼に映し出されたのは笑っている彼女の顔。



「……………、っ」



一気に我に返り、羞恥心と罪悪感が一気に押し寄せる。火照る顔を手で冷やそうとするけれど、手も熱くて冷めていく気がしない。

深呼吸を数回していくうちに感情の高ぶりは収まって、心臓の音も収まった。僕は教科書や問題集や筆箱を取り出して、机に置いた。深く息を吸って、ゆっくりと息を吐く。

隣から彼女の吐息が聞こえる。


「好きだよ」


僕の言葉が空気に触れた。僕の言葉は透明色になって触れれなくなって見えなくなって、この部屋を漂っているのだろう。


彼女の肩を揺すった。






「姉さん、起きて」
















ゆっくりと開かれた彼女の瞳は僕を映して、ふにゃりと柔らかく優しい笑みを溢す。また、温かな感情が胸に込み上げてきたけれど、気付かないふりをした。