部屋の中に戻ってコップに水を注ぐ。
外が暖かい方だったから冷たい水を。
「ん、冷た。おいし」
喉を潤すと同時にひんやりと伝わってくる冷たさがいい。
『··から···なんだって!!!···』
『···はあ?··れは、···るくねえって言ってんだろ!!··』
「はあ、まだやってる」
お互いを罵り合う声は、窓ガラスなんか関係なく聞こえてくる。
昔からこんな環境だったから、全然気にならない。
嫌でも慣れたし、もう当たり前。
今では、眩しいぐらいの街の光も、いつまでも止まない大声も、不思議と心地いい。
歌でも聴いてるような感覚だ。
華白は、午前二時頃に夜の静かさを取り戻す。
そのことを認めたくて、いつも自分で自分を抱きしめる。
