マリンスノー

*
「あの時、チョコ食べられなかったからこうなっちゃったのかも。」

ココアを一口飲むと、いつの間にか冷たくなっていて。
心までひんやり冷たくなっていく感じがした。

ふと、店内を見渡すと。
カップルできているお客さんがいた。

仲いいなあ……。

隣に座って、マグカップを持ちながら。
内緒話するみたいに話してる。
時々笑ってて、時時近づいて耳を澄まして話して。
秘密を共有するみたいにこっそり笑うの。

ちょうど見てたときに、男の子が女の子を愛おしそうに撫でていて。
女の子は照れながらも嬉しそうにはにかんでいた。

……羨ましい。
私もうみくんにそういうこと、されたかったな。

ココアで冷たくなった心がさらに冷えて。
心臓が軋む感じがした。

ただ呼吸をするだけでも痛い。
……生きているだけでこんなにも痛いなんて、残酷だ。

私は一気にココアを流し込んで。
乱雑にバックを持って、店を後にした。

扉を開けて走ろうとすると、上から白い粉が舞ってきた。
顔を上げれば、雪が降っていて。
あたりを見渡せば、地面に雪が降り積もっていた。

傘、持ってない……。

こういうとき、いつもうみくんが折りたたみ傘持ち歩いてて……。

また、うみくんのこと考えてるや。
どんなときでもうみくんうみくん。
もうこんなの……。

唇をガリッと噛みしめて。
私は、雪の中に姿をくらませた。

歩けば歩くほど、雪はどんどん強くなって。
解けた雪が容赦なく私の身体を侵食する。