「今日はこの話をしたくて誘ったんだ。」

「家でも良かったのに。」

「まだ誰にも言ってないから。」

「うみくんママたちにも?」

「うん。まずは、凪に話してから言いたかったから。」

誰よりも先に将来の決断を話したいと思った。
そんな風に言ってくれるのが嬉しくて。
でも同時に、心が張り裂けそうなくらい痛かった。

「買い物に行こう。付き合ってほしいところがあるんだ。」

「付き合ってほしいところ?」

そう言われてうみくんの後ろをついて行くと。
ついたお店は、女の子向けの雑貨屋さんだった。

「どうしてここ……?」

「水菜がもう少しで誕生日だから。プレゼント選びに付き合って欲しくて。」
「えっ……。」

「僕は女の子にプレゼントしたことあるのは凪だけだし。
 それに、彼女へのプレゼントは初めてだから何をあげたらいいのか分からなくて。
 それを凪に相談したかったんだ。」

……これは、少し残酷すぎるようみくん。
視界がぐにゃりと歪む。
うみくんの話し声も、他の人の話し声も遠くに聞こえる。
心臓が圧迫されているみたい。
ぐっと押されている感覚が気持ち悪くて吐きそうになる。

不思議と目頭は熱くならなくて。
頭はひんやりと冷たくて冷静だった。

ああ、なんかもう。
どうだっていいや。

「これとか、どうかな?」

そういってうみくんに差し出したのは、雪の結晶がモチーフになったネックレス。

「雪加瀬さんの名前にも雪って入ってるし。
 こういうストーンついてるのかわいいと思うな。」

「なるほど……。」

「あとは、あっこういうヘアアクセもいいかも。」

そういってうみくんに見せたのは、リボンの形をしたピン留め。
雪加瀬さんはヘアアレとか好きそうだから、こういうのあげたら喜ぶ気がするな。

「……これにする。」

そう言ったうみくんは、私がいいと言ったふたつをレジへ持って行った。

買い終えたうみくんは満足そうで。
私たちはそのまま家路を歩いていた。