「え!?こわい…」
私はあわてて海斗の手を握った。

海斗は何も言わず私の手に小さな箱を握らせた。

すると聞いたことがある音楽が流れた。
それとともに奥の方から優しい小さな光が近づいてくる。

「お誕生日おめでとうございます。」

え?え?
「ろうそく消して。」
海斗は言った。

ふーっ!
消すと明かりがついて、海斗は笑顔で言った。
「誕生日おめでとう。」
「ありがとう。知ってたの?」
「当たり前だ。お前の主治医なんだから生年月日くらい把握済みだ。」

あ、そっか。
そして私の手で持っている箱。
海斗が暗くなった時に渡してくれたもの。