車はしばらく走ってある場所に停められた。

目の前には光にあたり、宝石を散りばめたような青く輝く海が一面に広がっていて、白くてきれいな砂浜がその美しさを引き立てていて、優雅な気持ちになるような世界が視界全面を支配していた。

「どう?この景色…俺のお気に入りなんだけど、心が穏やかになって考え方変わると思わない?」と護は言う。

恵美里のことをよく知る護だからこそ出来る気遣いでもあった。

「もっと俺に頼りなよ?疲れたら素直に疲れたって言っていいんだよ?胸でも肩でもいくらでも貸すし話くらい何時間でも聞いてやるから」と護は少しカッコつけるように言った。

「ありがとー」と恵美里は笑った。

「さ、そろそろ帰ろうか。今度こそホントに家まで送るよ」と護は言って運転席に座った。

恵美里も横に座り、シートベルトを締めた。

車はゆっくり走り出した。

家について、「あの、護さん、良かったらあがっていきません?」と恵美里は言った。

「良いのか?」という護に頷いた恵美里。

車を止め直した護は車を降りた。

そして、二人は、家の中に入った。

「おかえりなさい」とお父さんとお母さんが迎えてくれる。

「ただいま~」と恵美里は笑顔で中に入る。

「あら?護さんも一緒?入って」とお母さんが笑顔で護を迎え入れる。

中に入るとダイニングでコーヒー片手に新聞を読んでるお父さんがいる。

「護さんか?よく来た」と口数少ないお父さんなりの歓迎をした。

「座って?」とナゼか嬉しそうなお母さんにのまれるようにして、護は席についた。その隣には恵美里が座り、お母さんはお茶を入れて、二人の前へと置き、自分も向かいに座った。

「二人はいつになったら結婚するんだ?」とお父さんは言い出す。

「え?お父さん!何言ってるのよ?私まだ16よ?高校生なったばっかりだし…」って天然な恵美里の発言に。

「…14も離れた俺じゃ釣り合いませんよ。もちろんこれからも、息子のように大事にしていただけると嬉しいですけど…これから恵美里には色んな出逢いがあって、素敵な人に出逢うと思いますので、俺は結婚出来ませんよ。お付き合いもしてませんからね?」なんて真面目に答えた護

「護さん、ホントに真面目ね。いつでもいらしてね。それと…娘のこといつも大事にしてくれてありがとね。これからもよろしくお願いしますね」とお母さんが言って、護は「はい!もちろんです」と頷いた。

「お母さん、お父さん…私…もう一度、ドラム叩きたい。護さんと交わした約束守りたいし、スッゴク背中押してもらったの。もっかい頑張ってみる!」と恵美里は宣言して、

「よく言った!」とお父さん、「良かったわ」とお母さんは言った。

そこからは一気に和やかな感じになり、他愛なく会話した護。

一緒にご飯を食べることになり、食事が終わると去っていった。