「ねえもうすぐ5分前だよ?」
「アイツ何やってんだ?!」
「もうすぐ猪狩先生来るぞ！」
「ヤバくないか?」
「ま、また先生機嫌悪くなるよ」
「今日から新しい先生来るってのにアイツは全く」
真希も焦りを覚えながら翔太が現れるであろう方向を見つめる。しかし真希も含めメンバー全員は翔太を心配している訳では決してなかった。メンバーが最も恐れているのは、野菜班を実質的に仕切っている実習教師の猪狩への恐怖だった。実習教師とは、教諭が授業などを行っている時の農場の管理そして実習で手順ややり方などを教える教諭の補助的存在でその中でも猪狩は素晴らしいの技術を持っており県内の農業高校では有名で例え教諭であっても逆らうことの出来ないドンのような存在だ。野菜班メンバーは密かに尊敬の意味も込めて将軍と呼んでいる存在だ。そんな猪狩は素晴らしい技術を持っているのだが実習ではなかり厳しかった。特に遅刻や人の話を聞かない翔太のことが気に食わず。翔太が何かやらかすと機嫌が悪くなり他のメンバーにも厳しく当たることがあった。