作ったお菓子を詰め込んだバッグを持って、私は靴を履いた。
「いってきまーす」
「いってらっしゃーい」
家の奥の方からお母さんのそんな声が聞こえたのを確認して、私は玄関を出た。
…ここから香乃の家までは、自転車で行けばあっという間だ。
きっと、遊ぶ時間もいっぱいあるだろう。楽しみ。
奈保くんにも会えるかなぁ。
会えるといいなぁ。目の保養だし。マジ天使。
なんてウキウキ考えながら、荷物を自転車のカゴに乗せて、香乃の家に向かった。
*
ピンポーン
「あ、梓!」
「…香乃、誰が来たのかちゃんと確認してから出ないとダメじゃん」
「でも、梓と約束してたし…」
「防犯は大事だよ」
なんて二人で話しながら入っていくと、笑い声が聞こえた。
「あ、奈保くん…!」
「梓ちゃん、来たんだ」
「ふふ、お邪魔します」



