作ったお菓子を詰め込んだバッグを持って、私は靴を履いた。


「いってきまーす」

「いってらっしゃーい」


家の奥の方からお母さんのそんな声が聞こえたのを確認して、私は玄関を出た。


…ここから香乃の家までは、自転車で行けばあっという間だ。
きっと、遊ぶ時間もいっぱいあるだろう。楽しみ。

奈保くんにも会えるかなぁ。
会えるといいなぁ。目の保養だし。マジ天使。


なんてウキウキ考えながら、荷物を自転車のカゴに乗せて、香乃の家に向かった。





ピンポーン


「あ、梓!」

「…香乃、誰が来たのかちゃんと確認してから出ないとダメじゃん」

「でも、梓と約束してたし…」

「防犯は大事だよ」


なんて二人で話しながら入っていくと、笑い声が聞こえた。


「あ、奈保くん…!」

「梓ちゃん、来たんだ」

「ふふ、お邪魔します」