弟くんの逆転



「奈保くん…っ、…冗談、だよね?」

「冗談だと思うの?梓ちゃんは」


聞いてみても、また質問で返されてしまう。
どう答えるのが正解なんだろう。


「…そう、だと思う」

「じゃあ…」


妖しく笑う奈保くんのアップが目の前に。

私の背中には、さっきまで私と奈保くんが眠ってベッド。


「確かめてみよっか、梓ちゃん」

「~~っ、ダメ!」

「なんで?梓ちゃんは冗談だと思ってるんでしょ?だったら大丈夫じゃん。きっとすぐ終わるんでしょ?」


だけど奈保くん、きみの手の力はまったく緩められないよね。


「……」

「梓ちゃん、そんな目で見てても、危ないのは梓ちゃんだよ?」

「どこが」


睨みつけようとしてるのに、私の方が危ないのはなんで。


「すっごいそそられる、から」