弟くんの逆転



持ってきた荷物の中から、スマホを取り出して画面を操作する。
奈保くんもどこからかスマホを出してきていたから、スムーズに交換し終わった。


「じゃあ梓ちゃん、もう一個のお願いね」

「う、うん」

「続き、させてよ。さっきの」

「え?」

「気づいてなかったんだ。いっぱい梓ちゃんにキスしてたの。梓ちゃんの寝顔、可愛かったから」

「…っ!?」


じゃあさっき、顔のところどころが熱かったのって……。

その先のことまで想像して、さらに暑くなってしまう。


「おねがい、聞いてくれるんだよね?梓ちゃんにしかできないことだしね」

「う……ダメ」

「なんで?」

「恥ずかしくて死んじゃう…」


むしろ私は、なんで奈保くんがそんなに平然と言えるのかわかんない。

当たり前のように、そういう恥ずかしいことをすぐに言う奈保くんはズルい。