弟くんの逆転



おねがい、とは。


「私にできることなら、なんでも…!」


さっき寝ちゃったし、せめてもの罪滅ぼしと言ってはなんだけど。


「なんでも、ね」


奈保くんはそう言って満足げに笑う。

…なんでだろう、ちょっとゾクッとした。


「じゃあさ、まずは梓ちゃんの連絡先教えてよ。俺といつでも繋がっていられるように」

「え、うん……別にいいけど…『まずは』って?」

「うん、あとでちょっと。大丈夫、梓ちゃんにしかできないことなんだ。叶えてくれるよね?」

「う、うん…」


やっぱりどこか怖かったけど、反射的なのと、奈保くんのオーラみたいなものに圧倒されて、ほぼ勢いで返事してしまった。