弟くんの逆転






肌のところどころに触れる熱で目が覚める。


「あ、梓ちゃん、起きちゃった?」

「え?起き……って、あ…!?…寝ちゃってた、んだ…私」


看病するぞー!って張り切ってきたくせに寝落ちしちゃうとか……我ながら情けない。しかも奈保くん、もう元気そうだし。これから看病できる感じもない。元気なのはいいことなんだけど。


「梓ちゃんの寝顔、可愛かったな」

「ご、ごめんね!っていうかそれは今すぐ忘れて…!」

「やだよ。それに、ほら」


そうして向けられたスマホの画面。
奈保くんがホームボタンを押すと、ロック画面に私の顔が広が……


「奈保くん!」

「ふふ、撮っちゃった。ばっちりロック画面に設定もしたし、これでスマホ見るたびに梓ちゃんに会える。俺、スマホに依存しちゃいそう」

「なっ…!」

「そうだ梓ちゃん、おねがいがあるんだけど」

「え?」