弟くんの逆転



「な…お…、く……」

「梓ちゃん、うっさい。ちょっと黙って」


そう言ってまた、キスされる。

でも、黙ってしまったら、本当にこれが終わらない気がしたから、少しでも喋ろうとするのは私のささやかな抵抗だ。


…十分ぐらい経っただろうか。
疲れたような奈保くんが、キスをやめて、そのまま私の上に倒れ込んだ。


「な、奈保くん…?」

「……」


どうやら、そのまま寝てしまったみたいだ。

…でも、この体勢はマズい。どうにかしてほしい。
そんなこと思っても、奈保くんは寝てるから自分でどうにかするしかない。


奈保くんにあまり触らないように、おそるおそる布団から抜け出そうとする。

奈保くんが乗っかっていたような状態から、奈保くんが少しだけ寝返りしたから、さっきより出やすい。