あっという間に
――奈保くんと一緒に、布団の中。
いくら危機感に乏しい私でも、私の中の何かが、私に告げている。
「これは危ない」って――。
「あ、の、奈保くん」
「大丈夫、梓ちゃんが風邪ひいたら、俺が付きっきりで看病してあげるから」
「いや、そうじゃなくて、そ……ん」
「そこどいて」と言いかけた唇は、奈保くんのそれによって塞がれた。
香乃ママに「気をつけてね」と言われたことがフラッシュバックする。…こういうことになるのを、予想していたのだろうか。
そんなことを頭の片隅で考えていられるうちは、まだよかった。
その間にも、キスの雨は降りやまなくて。
それどころか、次第に深くなっていき、頭の中が奈保くんに支配される。



