「梓、これ、生クリーム…」

「大丈夫だよ」


ケーキを見たお母さんは、思った通り、顔を少し引きつらせていた。

…ひどくない?
いくらなんでも、さすがにひどくない?


「…じゃあ、いただきます」

「どーぞ」


パクッ


「!」

「どお?」

「おいしいね、これ」

「でしょ」


そりゃあ、お母さんでも美味しく食べられるように作ったからね。

美味しくないわけがない…っていうのは、さすがに自信過剰だけど。


「でもなー。最近太ったからなー」

「そうは見えないけど」

「見えないところに肉があるんだよ」

「…そう」


あまりにも血眼になって言ってくるものだから、その気迫に圧倒されそうだった。恐い。恐怖。怒ってるときよりある意味怖い。