「ほら早く。上がって上がって」
なんで香乃ママが喜ぶのかと、どう反応したらいいのかがわからなかったのとで、なんだか変な返事になってしまったかもしれないけど、幸いにもスルーされた。よかった。
「お、お邪魔します…」
香乃ママに言われた通り上がらせてもらう。
きちんと靴はそろえる。家でも一応ちゃんとそろえてるけど、かなり雑だから、ここでは丁寧に。
「奈保の部屋は二階だからね」
「えっ、相部屋じゃなくなってたんだ……」
昔、何回か香乃の部屋に入れてもらったことがあったけど、和室で、しかも奈保くんとの相部屋だった。今は違うらしい。
「あはは、結構前からだよ?…あ、そっか。香乃、部屋汚いから他の人部屋に入れないからね」
「そうだったんですか…」
「確か、2年前くらいかな。香乃の受験勉強のために」
「めっちゃ前だ…」



