私はいたたまれなくなり、二階の自分の部屋に行って、素早く着替えた。

鎖骨のあたりがちゃんと隠れるように、襟付きの服。だけど真面目な堅苦しい感じじゃなくて、丸襟の服。だから少し優しげな感じがする。

それに、適当にガウチョパンツを合わせて、荷物を持った。

一階に下りて、お母さんとは目を合わせないまま、保冷バッグを引っ張り出してきて、冷やしておいたゼリーとポカリを入れた。

そのまま玄関に直行して靴を履いて、スライド式のドアを開ける。


「……ってきます」


どうせお母さんから「いってらっしゃい」の返事なんかないだろうと思ったけど、僅かな期待からなのか、ただの癖なのか、雑だったけど「いってきます」がこぼれた。

けれど予想通り、お母さんから返事はなかった。