「もうちょっと待ってるつもりだったけど、もうやめた。梓ちゃん、予想外すぎる。ほんと、余計な奴見てないで、俺だけ見てればいいのに」
「な、奈保くん…?」
言ってることの意味はわからないけど、なんだか今までの優しい奈保くんじゃないみたいだ。なんだか別人みたいで、ちょっと怖い。
というか、さっきの何だったんだろう。
私が一人、真っ白になってる頭で考えているのをよそに、奈保くんは私が持ってきたレモンゼリーを食べてる。
「梓ちゃん、これでまたキスしたら、レモン味になるかな」
「なっ…!?キ、キス…!?」
「さっきの。キスのつもりだったけど。それとも、あんなレベルじゃまだまだキスなんて程遠い?足りない?じゃあ、もっとすごいのしよっか」
ニコニコしながら言ってくる奈保くんは、意地悪だと思う。
それにそうだ。
さっきのって、キス…。
……私のファーストキス…。
「な、奈保くん!」
「ん?」
「わ、私、はじめてだったのに!」



