「まぁ、関係ないけど。その先輩のことなんか一瞬も考えられないくらい、俺で頭いっぱいにしてあげる」
「え…?…ん……」
噛み付くように、唇をくっつけられる。
「なんで?」とか、「どうしたの?」とか。
そんなの考えられなくなるくらい、奈保くんの言った通り、奈保くんで頭がいっぱいになる。何も考えられないくらい。
明らかにおかしいことをされてるはずなのに。
小さい頃の奈保くんなら、すぐに押し返せるのに。
そんなの許されないくらい、掴まれた腕の自由はない。
抵抗することなんてできなくて、その間にも繰り返される。
「……っ、奈保、くん…」
「なに勝手に、他の男を好きかもとか言ってんの?」
混乱してる私に、奈保くんは怒ったようにそんなことを言う。
やめてほしい。未だに私は、何が起こったのか理解が追いついてないんだから。



