「それで梓ちゃん、相談って？」
「あのね奈保くん、私、好きな人できたかもしれない」
「え？」
「同じ学校の先輩なの。なんか、目が合って、ドキドキしたんだ。奈保くん、男の人の気持ちって、どういうものなの？」
私がそう聞くと、少し馬鹿にするように嘲笑った奈保くん。
…いや、なんで。
奈保くんひどい。
「梓ちゃんは、ドキドキしたから『好きかも』って思ったの？」
「う、うん」
「じゃあこの前、俺にドキドキしてたのも、『好きかも』にはならないの？」
「え、だってあれは…」
今まで見てた、かわいくて純粋な笑顔をする幼い奈保くんのイメージが……色っぽくなった奈保くんにかき消されてしまったから、だと思う。
きっとたぶん、一時的なものだよ。
