「あ、梓ちゃん」


香乃の家に着いて、香乃としばらく雑談していると、部活終わりの奈保くんが帰ってきた。


「奈保くん、おかえり。お邪魔してます…!」

「うん。いくらでもゆっくりしていっていいからね」


い、いくらでもはさすがに…と思ったけど、そうだ、社交辞令だ。真に受けたりしてたらダメだ。


「そうだ、奈保くん!奈保くんに相談があるんだけど、いいかな?」

「え、梓ちゃんからの相談事?もちろんいいよ」


ちょっと奈保くんが嬉しそうに返事をしてくれて、私は一安心。


「…梓、奈保。私、自分の部屋行ってるね。…リビングで一線は超えないでね。ママ帰ってくるからね」

「は……?」

「…う、うん……?」


香乃に言われた意味がわからないまま、取り残された私たちは、首をかしげるばかり。

よくわかんないのに返事しちゃったけど、よかったのかな。たぶん大丈夫かな。