それは、突然。


――ドンッ


「…っと、ごめんね」


――ドキッ


「あ、いえ…」


豊浦(とようら)梓、どうやら初恋をしてしまったようです。





「…梓って、バカ?」


香乃に相談したところ、開口一番にそう言われる。

…胸のトキメキくらい、大事にしたっていいじゃんか。


「そんなこと言うなら、もう香乃にお菓子作ってあげない」

「わー!ごめん!冗談だから!」

「…そう?」

「とりあえず、男心について、奈保にでも聞いてみれば?」


おぉ、ナイスアイディア。

確かに、自分の弟にそういうこと話すのは、なんか恥ずかしいし。
それに何より、奈保くん優しいから、きっと相談に乗ってくれるはず…!


「じゃ、じゃあ、今日の放課後、さっそく香乃の家に遊びに行ってもいい?」

「…いいけど、奈保、今日は部活あるよ?」

「あ、じゃあ、奈保くんの好きなレモンゼリー作ってから行くね」