年上のお姉さんをからかうなんて、趣味が悪いよ、奈保くん。
私と奈保くんの仲なのに、なんで急に、そんな意地悪するの。
「やっば、俺のせいとか……」
「そうだよ。反省してください」
「ゾクゾクする…」
「え?」
奈保くんの瞳に反省の色はなく、むしろその目がギラギラしてきている…気がする。
気のせい、だよね…?
「梓ちゃんのお説教なら、いくらでも聞いてられるし……なにこれ、敬語とか可愛すぎない?」
「奈保くーん、どうしちゃったのー?」
私が聞いても、奈保くんはこっちを向いてくれない。
「あぁ、ダメだ。もうほんと、梓ちゃんダメ」
「なにが…?というか、お姉ちゃんの言うこと、少しは聞いてくださーい」
実際には、お姉ちゃんではないけど。
お姉ちゃんみたいなものだもん、聞いてほしい。
…なんて、ワガママかな。