それに、仮に奈保くんがクッキーになったとしたら、食べられる気がしない。ううん、絶対食べられない。
「…梓ちゃんってほんっとーにズルいよね…」
「え!?ど、どこが…?」
「んーん、こっちの話」
…まただ。
奈保くんはこうやって、時々はぐらかす。
「…そうやって線引きされると、けっこう寂しいんだからね?」
「でも、梓ちゃんだってそうでしょ?なんで香乃に対するみたいにしないの?それこそ俺、心開かれてないみたいで寂しいんだけど」
「開いてないわけないよ…!それに私、佳乃(よしの)ちゃんにも、こんな感じだよ?」
佳乃ちゃんというのは、香乃と私と同じ幼稚園出身で。
これまたいわゆる幼なじみだけど、佳乃ちゃんと仲良くなったのは、小学4年生くらい。
何度かここ(香乃の家)にも遊びに来てるし、奈保くんも面識はあったはずだ。
「あぁ、言われてみれば確かに」
どうやら納得してくれたような奈保くん。よかった。



