腹黒王子のいいなり。



「か、帰る……」
「じゃあ一緒に帰ろう?」

せっかくひとりで帰ろうとしたのに。
菅原に誘われてしまった。


それも、“王子さま”のようなキラキラスマイルで。

だからこそ余計戸惑ってしまう。
こっちが本当の菅原なんじゃないかって、信じたくて。

「い、いいよ……」

ダメだ、菅原の言うことは全部受け入れるって約束したから、断れない。


「……残念だけど、春坂さんの知ってる俺は、全部ニセモノだってことを覚えておいて?」


ガタッと音を立てて菅原が立ち上がりながら、私に追い打ちをかけるようにしてそう言った。

これでもう、“王子さま”である菅原はいないことが判明されてしまった。


「得意なんだよね、こうやって声のトーン上げて優しく人と接するの」

今この瞬間も優しい声音のまま、衝撃発言をするから私は言葉を失って何も返せない。