私に声をかける人といえば、一人しか思いつかない。


振り返れば、ふわっと優しく笑う友田(ともだ) ひなこが立っていた。

ひなこは中学が同じ北中で、高校1年の時も2年の今も同じクラスだった。


中学の時は同じクラスになったことはないけれど、たまたま同じ委員会で話す程度には顔見知りだった。


そして1年の時に同じクラスになり、それがきっかけで今はずっとひなこと一緒にいるほど仲良くなった。


もちろん高校の中で唯一の友達であり、仲良くできるのがひなこだった。


ひなこは周りから何度も『春坂さん、怖くないの?』とか『春坂さんといたら、よからぬ男に絡まれちゃわない?』とか聞かれたりして、私のせいでたくさん迷惑をかけている。


だけどひなこはその度に優しく笑って、『全然怖くないよ』とか『男の子に絡まれたことなんて一度もないよ』と素直に答えてくれ、さらには今もこうして私と仲良くしてくれるのだ。