「おい、見ろよ」
「今日も変わらず美人だな」
駅に着いて学校へ向かう途中には、多くの生徒の姿があり、さらには視線を向けられることが多かった。
そのため、朝の登校は居心地が悪い。
「堂々としてていいな」
「あたし春坂さんみたいになりたい」
小さな声で話してるつもりかもしれないけれど、残念ながら全部聞こえている。
わざとなのだろうけれど、さすがにここまで堂々とバカにされたら傷ついてしまう。
もちろん顔には出さない……というか、出せないのだが。
心の中で大きなため息をつき、学校の門を通る。
ありもしない噂のせいでこんなにも注目されて、本当に最悪だ。
「あっ、夕美ちゃん!」
靴箱に行き、上履きに履き替えていると突然誰かに声をかけられた。



