腹黒王子のいいなり。



もちろんそんなこと言えるはずもなく、私はただ口を閉じて黙る。

最初はただ、沈黙が流れていた。


少し気まずいと思ったけれど、特に話す話題もないため、話しかけられない。

口下手というかコミュ障というか、こういうところが、自分に友達ができない原因のひとつなのだ。


そんな自分が嫌になっていると……。

「春坂さん」

左隣に座る菅原に、名前を呼ばれた。
パッと横を向けば、穏やかな笑顔が浮かべられていて。


「俺さ、春坂さんに聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいこと?」


一瞬、怖くなった。
もしかして私、菅原の気に障るようなことをしてしまったのかなって。


だけど菅原は笑顔のままだったから、きっと違うだろうなと思い直す。



それにしても、今の空気……なんか嫌だな。
菅原と教室でふたりきり、というのがそもそも緊張してしまう。