「ミイが……あっ、仔猫がここで捨てられていて……一週間くらい前からずっと」
「……君は飼わないの?」
「お母さんが猫アレルギーだから……」
「へぇ、じゃあ俺が飼ってもいいってこと?」
その言葉に、思わずミイを抱きながら立ち上がってしまった。
「本当……!?」
「ちょうど俺の家族、ペット探ししてるから」
奇跡だと思った。
ずっと探していて、見つからなかったのに。
突然目の前に現れた彼が、救ってくれたのだと。
思わず笑顔になる。
普段はあまり笑うのが得意じゃないけれど、この時だけは自然と頬が緩んだ。
「……ありがとう、本当にありがとう。
ミイ、良かったね」
「みゃー」
まだ湿っているミイをタオルで包み、彼に渡そうとした。
だけどなぜか彼は目を見張り、その場に固まっていた。
「あの……」
私が声をかけると、はっと我に返ったような表情をして彼は私からミイを受け取った。
「じゃあミイをよろしくお願いします」
ミイともう二度と会えないと思ったら寂しくなっけれど、それ以上に安心感が胸いっぱいに広がった。