そのことに対しても、涙が止まらなくなっていると……。
「見つけた」
ひどく落ち着いた声が聞こえてきて。
思わず3人とも視線をあげる。
涙で歪む視界の中、階段からのぼってくる雅の姿があった。
「こんなところにいたんだね」
まだチャイムは鳴っていない。
だから雅も、抜け出してきたことになる。
「自習だからって抜け出すのは良くないよ。
教室のみんな、慌ててるし戻ろう?」
雅は今この時も優しい笑顔を浮かべていて。
だけどその笑顔は明らかな作り笑いにも見え、少し怖い。
「は?雅、お前何言ってんだよ……春坂さん見てなんとも思わないのか?」
野村は今の雅に対し、私のためを思ってそう言ってくれた。
「そうだな……夕美の頭に置かれてる手、どけてくれない?」
「……は?」
だけど雅は、予想外の言葉を口にする。
手……つまり、私を慰めようとしてくれている野村に対して放った言葉だった。



