「ねぇ、雅くん。ここってどういう意味かわかる?」
「ああ、これはね」
今は化学の時間で、各自で計算問題を解いている最中に。
雅の前の席の女子が振り返り、彼に質問していた。
静かな教室で、その女子の声はよく響いてきて。
どこか甘ったるさも感じられる声だった。
私と全然違う。
見た目だって女の子って感じでかわいいし、声までもかわいいだなんて。
「やっぱり雅くんって賢いなぁ」
「そんなことないよ」
「本当に羨ましい。何でもできるし。
理想の彼氏像だよね」
その言葉には思わず反応してしまう私。
……わかってる、雅が周りから慕われるほど、すごい人だってことは。
完璧なうえに人当たりもいいだなんて、多くの人の理想に当てはまるだろう。



