腹黒王子のいいなり。



「俺、先輩なんだけど」

予想通り相手は先輩だったらしく、余裕のある声でそう言われた。


「……だから何ですか?
そもそも先輩がどうして2年の校舎にいるんです?」

「厳しいことを言うな、噂通り“クールビューティ”だな」


“クールビューティ”、その言葉はもう聞き飽きた。


「もう行っていいですか?」

さっきからうるさい、この人。
ひなこはそんな先輩を見て少し怖がっているし。

迷惑だ。


それに3年の先輩が2年の校舎にいると目立って当然で、視線も浴びる。


「まあまあ、そう睨まずに。
君と話がしたいだけだよ」

「話?」
「ここはうるさいから場所、変えようか」


余裕たっぷりの笑顔を浮かべられ、私は不快な気持ちになる。

だけど『無理』だなんて言えるはずもなく、先輩についていくことにした。


「ごめん、ひなこ。
先に買って戻ってて。すぐ教室帰るから」

「えっ、夕美ちゃん……大丈夫?」


ひなこはなぜか心配そうな顔をしている。