腹黒王子のいいなり。



「嘘なんてつかねぇよ」
「じゃあ、また雅の家に行く」

もう駄々をこねるのはやめようと思い、おとなしく雅から離れた。


「いつでも来たいって言えよな」
「うん、本当は今すぐにでも行きたい」


今すぐにっていうのは、図太すぎたかなって思ったから、隠すように笑ってみた。

すると雅の大きな手が、私の頭の上に置かれ、わしゃわしゃと撫でられる。


「雅、髪が……」
「こうでもしないと耐えられない」

「は?」
「もう帰るから、また明日な」
「あっ……うん、また明日」


雅は私と視線を合わせようとしてくれず、背中を向けてしまう。

悲しい気持ちでいっぱいになり、最後にこっち向いてくれないかなと思っていたら、雅が少し歩いたところで振り返ってくれた。


そして私と目が合うなり、ふっと優しく笑った。

その笑顔に胸が高鳴って、温かくなって。
私も雅に笑い返した。