「そっか」

雅は納得してくれた……かと思ったら。


「じゃあ、こっち向いて」
「えっ、なんで…」

なぜか雅のほうを向けと言われてしまう。

この距離の近さでそれは恥ずかしかったから、どうしてか理由を聞こうとした。


「いいから、早くしろ」

それなのに雅は答えようとせず、急かされてしまう。


だから私は雅の言う通り、彼のほうを向いた。
やっぱり距離が近くて、顔が熱くなってしまう。


「これだけで、もうそんな真っ赤?」
「……うん」

素直に頷くけれど、雅はさらに私との顔の距離を縮めてきて。


楽しそうな笑顔。
今目の前には、意地悪な雅の姿が映った。


「み、雅……」
「うるさい、喋られるとキスしにくい」

「……っ!?」


キス……今、雅は堂々とキスと言った。
そんな宣言されて、我慢できるはずがなく。

さらにドキドキが増してしまった。