「じゃあ雨の日もわざわざ……?」
「その日の前日に、親に猫のこと話してて、その猫を飼う人がいないんならウチで飼おうって言ってくれたから、もともと拾いに行くつもりだった。
そしたら雨で、急いで行ったらお前が泣いてた」
泣いてた……って、泣いているところを見られてしまったってことだ。
それはなんだか恥ずかしくなる。
「な、泣き顔見られるなんて恥ずかしいな……絶対変だったよね」
「綺麗だったけど」
「えっ」
「誰かを思ってのお前の涙、誰よりも純粋で綺麗だと思った」
真剣な表情で言うものだから、冗談なのかわからなくなってしまう。
「えっと……」
「言ってる側の俺も結構恥ずかしいからな」
「えっ?」
思わず俯いてしまった顔をすぐさまあげてみれば、雅は私から顔を背けていた。
その横顔は何やら照れているように見える。
今の雅の表情はなんだか新鮮だった。
雅にもそういう感情があるんだって思ったら、なんだか嬉しかった。



