腹黒王子のいいなり。



「痛い」

本当は痛くないけれど、反射的にそう言ってしまう。


「嘘つけ」
「……雅」


今は素直に菅原の名前が口にできた。
“雅”って。



「雅って名前、かっこいいね。
菅原にぴったり」

「……お前ってなんでいつも」
「んー?なんか言った?」


ぼそっと菅原が何かを呟いたけれど、うまく聞き取ることができなかった。


「なんも言ってねぇ。いいから早く寝ろ」
「うん、寝る」


私がそう言うと、頬をつねる菅原の手が離れた。
そのため慌てて菅原の手首を掴む。


「……なんだよこの手」
「菅原はどこ行くの?帰るの?」

「まあ、タイミング見計らって帰るだろうな」
「ダメ」

「……は?」


そんなの嫌だ。
今はひとりになりたくない。